事務所通信

税制改正の動向4

 前回は【平成21年度の与党税制改正大綱】についてお話しいたしましたが、見送られた案件もありました。今回の改正の目玉と言われていた相続税の課税方式の改正です。今回は見送られましたが近いうちに改正される可能性は大ですので覚えておいて損はないですよ。

一言で言うと現行の【法定相続分課税方式】から【遺産取得課税方式】に変更しようというものです。

現行では

①亡くなられた方の財産総額から
②基礎控除や配偶者控除等を控除して
③総額の相続税を法定相続分で計算し
④実際の相続分に応じて相続税を負担する

という方式です。

後者は(あくまでも予想ですが、)

①財産総額を
②実際の相続人の相続分ごとに
③基礎控除や配偶者控除等を控除して
④相続税を負担する

という方式です。

何が違うかですが、相続税は累進課税というところがミソです。現行では一旦全体で税額を計算するので全相続人が一律の同じ税率なんです。が、改正案では相続人ごとに税率を適用するので税率が一律ではない可能性があるんです。同じ遺産額の案件でも改正案の方が負担増になるともっぱらの意見でしたから私どもとしては一安心です。しかし、もし改正されたら対策の練り直しが必要です。

ではなぜ見送られたのって思いませんか?

理由が前出の大綱に記載されていましたので、ご紹介いたします。

『・・・現行の方式には、財産取得者の税負担にかかる水平的な公平性に問題があること等の課題があるため、新たな事業承継税制の導入にあわせて、各人の取得分に応じ個別に税額を計算する方法に改めることにつき検討が行われてきた。しかし、その見直しは、課税の公平性や相続のあり方に関する国民の考え方とも関連する重要な問題であり、さらに議論を深める必要があるとして改正が見送られた。』

・・・・・・ということらしいです。簡略すると、【改正は必要だけど中身をもっと煮詰めてから改正します。】といった感じでしょう。

将来相続の不安がある方は、そのあたりを見据えて早めの対策が必要ですね。課税方式が変わっても私のお勧めの一番の節税方法は【早めの対策でコツコツ】です。

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