事務所通信

贈与税⑦

今回は、低額譲渡による贈与税についてご説明させていただきます。まず、個人間で無償にて財産の譲渡が行われた場合、第1回目にご説明した通り、受け取った側に贈与税が課税されます。ただ、無償ではなく有償で譲渡した場合でも、贈与税が課税されることがあります。その具体例の1つが,相場よりも安い価格で売却した低額譲渡となります。

この低額譲渡の具体例を上げますと、取得価格1,000万円の土地があり、譲渡する時の適正時価が4,000万円とします。この条件におきまして、土地を1,500万円で譲り受けた場合、時価である4,000万円-1,500万円=2,500万円に対して、贈与税が課せられることになります。ただ、低額譲渡して扱われるのは、売買代金が著しく低い場合となり、どの程度低ければ低額譲渡になるかについては、個別的な判断となります。ただ、親族間の低額譲渡は課税を逃れるために行われることが多いため厳しくなります。なお、判例を参照しますと、土地の価格を路線価相当で譲渡した場合、時価の8割程度となり2割程度低いのですが、「著しく低い価格」とはならなかった事例もあります。ただ、土地特有の状況など他の要素もございますので、一概に時価の8割程度なら問題がないというわけではありませんので、一つの目安として頂くのがよろしいかと思います。

また、売り手側につきましては、取得価格1,000万円の土地を1,500万円で譲渡しますので、1,500万円-1,000万円=500万円が譲渡所得の対象となります。

以上のように、低額で譲渡する場合、受け取る側、譲る側の双方に課税の対象となりえますので、譲渡をお考えの際は譲渡価格にはくれぐれもご注意ください。

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