事務所通信

相続税の仕組み⑧

今回は簡単な例をもとに相続税の計算についてご説明させていただきます。まず、相続人が配偶者と子供(長女、長男)2名とします。

①遺産総額
(株式、土地、建物は評価済みとします。また、生命保険も非課税となる分は控除済みとします。)

・現金、預金、株式 6,500万円
・土地、建物 8,000万円
・生命保険金 4,500万円  合計遺産総額 1億9,000万円

次に、相続人の借入金が700万円 と葬儀費用 300万円かかった場合、この金額を差し引きますので、遺産総額が 1億8,000万円 となります。

②税遺産総額

遺産総額から基礎控除額を引きます。
1億8,000万円 - 8,000万円 = 1億円(課税遺産総額)

③課税遺産総額を法定相続分で分割

配偶者 1億円 ×1/2=5,000万円
長女 1億円 ×1/4=2,500万円
長男 1億円 ×1/4=2,500万円

④相続税の総額の計算(こちらは前回の速算表で計算します。)

妻 5,000万円×20%(税率) -200万円(控除額) = 800万円
長女 2,500万円×15%(税率) - 50万円(控除額) = 325万円
長男 2,500万円×15%(税率) - 50万円(控除額) = 325万円   合計 1,450万円

⑤各人の相続税額の計算(今回は法定相続分で遺産分割を行ったものとします。)

妻 1,450万円×1/2=725万円
長女 1,450万円×1/4=362万5,000円
長男 1,450万円×1/4=362万5,000円

⑥税額控除の計算

配偶者には税額の軽減がありますのでそちらを差し引きます。(配偶者の相続財産が1億6,000万円に満たない場合には1億6,000万円まで)

⑦納める税額の計算

配偶者0円、長女362万5,000円、長男362万5,000円となります。

以上が相続税の計算から納税額までの流れとなります。また、⑤では法定相続分で財産を取得したと仮定していますが、実際には取得割合が異なります。その場合は、取得した相続財産の割合に応じて相続税を按分することになります。

数回にわたり相続税の仕組みについてお話しさせていただきました。実際にはもっと複雑になることが多々あり非常に難しいですが、相続税のおおよその仕組みについてご理解いただければと思いますので、ご参考にして頂ければと思います。

(平成27年1月1日より基礎控除額や税率が改正されますのでご注意ください。)

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