事務所通信

相続税の仕組み⑥

今回は相続税の計算において生前贈与が行われていた場合における、生前贈与加算についてご説明させていただきます。

この生前贈与加算とは、亡くなる日(相続開始日)前3年以内にもらった財産についても相続税の対象になるというもので、贈与を受けた財産の贈与時の価額を相続税の正味の遺産額に加算します。

また、この加算が行われるのは生前に贈与を受けていて、相続により他の財産を取得した人が対象となります。

では、なぜ生前贈与が行われた財産に対し、相続税が課せられるのかというと、それは相続税を安くし過ぎないようにするためです。つまり、結果として相続税を安くするために行われた生前贈与に対し、相続時において相続財産に加算することで見直すというものです。ただ、贈与を受けたときに支払った贈与税額は相続税額から引くことができますので、二重に税金を納めることはありません。これを贈与税額控除といいます。

加算される贈与財産の範囲は、被相続人から生前に受けていた財産のうち、亡くなる前3年以内に受けたものすべてであり、3年以内であれば贈与税額が発生していた、していないに関係なく加算します。たとえば、亡くなる3年前から100万円ずつを贈与していた場合、基礎控除額110万円以下ですので贈与税額は発生しませんが、相続にはこの300万円を相続財産に加算することになり、相続税が発生することも出てくるというものです。

簡単にご説明させていただきましたが、実際はかなり複雑で生前贈与が有利になる場合や不利になる場合などがあり、その判定は大変難しいためくれぐれもご注意いただき、ご参考にしていただければと思います。

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