事務所通信

相続税の仕組み③

前回の最後にふれました、相続財産の評価の仕方を簡単にご説明したいと思います。財産の評価の原則としては、相続税を計算する場合の財産はすべて時価で評価するということです。ただ、時価といっても少し漠然としていますので、評価対象になる個々の財産の計算を少し具体的にご説明していきます。

まず「土地」ですが、すべての土地を時価で計算するのは難しいので、「路線価」というものを用いて評価することになっています。この「路線価」というのは、毎年8月頃税務署より発表されるもので、道路に価額を付けることにより、それと土地の面積を掛け、算出された額をその土地の評価額とするものです。

また、上記「路線価」が定められていない土地もあります。その場合は「倍率方式」というものを用います。これは、その土地の固定資産税評価額に税務署が定める一定の倍率を乗じて計算するものです。

「建物」の評価で自用家屋の場合、固定資産税評価額がそのまま評価額となります。ただ、アパートなどの貸家は、固定資産評価額から借家権割合などを考慮した額を控除し、その価額が評価額となります。この借家権割合などを控除するのは、借りている人がいるため、その持ち主がその土地を自由に処分する事ができないことを考慮しているからです。

「預貯金」の評価は、相続が発生した時点における残高がそのまま評価額となります。なお、定期預金などの利息も、相続の発生時点までの利息を加える必要があります。

「上場株式」の評価も相続が発生した時点における市場価額で評価しますが、過去3ヶ月分の各月平均額のうち、もっとも低い価額で評価していいことになっています。

以上、相続の評価対象としてよく出てくるものを簡単にご説明しました。上記はあくまで基本的な考え方としてご参考にしてください。特に土地や建物の評価はいろいろなケースがあり、それに合わせた適正な評価方法を選択していく必要があるからです。

次回は、相続税の評価をするうえでのいろいろな軽減措置についてご説明します。

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