事務所通信

減価償却⑫

今回は固定資産の圧縮記帳についてご説明させていただきます。まず、この圧縮記帳を簡単にご説明しますと、国や地方公共団体から設備投資などのため補助金を受けた場合、この補助金に対しても課税対象となるのですが、圧縮記帳ではその課税を将来に繰り延べる仕組みです。

具体的な例としまして、補助金100万円を受取り、設備投資のため機械を150万円で購入したとします。

まず、圧縮記帳を行わない場合は、補助金100万円に対して課税されるため、補助金を受取る前の利益が200万円の場合、補助金を加えますと300万円となり、税金を80万円程納めることになります。そうなりますと、補助金100万円の一部が税金として無くなるため、補助金の趣旨に反してしまいます。

一方、圧縮記帳を行いますと、補助金100万円を受取りますが、固定資産圧縮損という損失を100万円計上することが出来るため、補助金の収入を相殺することができます。そうなりますと、補助金を受取る前の利益が200万円の場合、200万円に対してのみの税金となるため、補助金全額を設備投資に活用することが出来ます。

ただ、一見すると圧縮記帳の方が有利に見えますが、それぞれの減価償却費が変わってきます。つまり、圧縮記帳を行わない場合は、機械150万円が減価償却の対象となりますが、圧縮記帳を行う場合は、150万円-100万円(先ほどの固定資産圧縮損)=50万円が減価償却の対象となるため、補助金に対する課税を抑えられますが、減価償却費としては50万円分しかないため、将来的には課税所得は増えることになります。

つまり、圧縮記帳をしてもしなくても全年度を合算すれば課税される金額はほぼ同じですが、圧縮記帳をすれ、初年度の税負担が軽減されることとなります。

そのため、この圧縮記帳を適用するかどうかの判断は、当期の業績や繰越欠損金(過去のマイナス)の状況など総合的に考慮する方が望ましいため、補助金を受けられる場合は、当事務所までご相談を頂ければと思います。

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