事務所通信

減価償却⑪

今回も前回に引き続き、実務的に判断の難しい減価償却資産の個別事例についてご説明させていただきます。

工場や事務所、店舗などの建物を自社で所有している場合、減価償却資産として長期間に渡り少しずつ償却をしていくことになります。ただ、その所有している建物の価値が残っている状況(すべてを減価償却としていない状況)で、取り壊して新しい建物を建てる場合、減価償却費として償却していない資産価値の部分(未償却残高)については、取り壊した時に全額損金として経費計上することができます。

一方、建物付き土地を購入した場合、建物の部分は減価償却資産として減価償却の対象となるのですが、直ちに取り壊して新しい建物を建てる場合においては、取り壊した建物部分の価値は全額損金とは出来ません。つまり、同じように新しい建物を建てるため建物を取り壊したとしても、後半の事例の場合は購入した建物を使用する目的ではなく、その建物を取り壊して土地として利用する目的のため建物の価値はないものと判断し、購入費用全額が土地の価格となります。つまり、土地1,000万円、建物500万円で購入した場合、本来、建物は減価償却の対象となるのですが、新しい建物を建てるため、すぐに壊して建物を取り壊す場合は、土地1,500万円、建物0円で取得したと判断することになりますのでご注意ください。

(消費税の計算においては、元々の1,000万円、建物500万円で判断いたします。)

タイトルとURLをコピーしました