事務所通信

法人税Q&A (その十二)

今回は、繰越欠損金の損金算入制度についてご説明したいと思います。この制度は「法人の各事業年度開始の日前7年以内に開始した事業年度において生じた欠損金額で、前事業年度までに繰越欠損金の損金算入又は欠損金の繰戻しによる還付の対象にされなかった金額を、その事業年度の所得の金額の額に算入する(法57①)」というものです。難しそうに聞こえますが、要するに利益(所得)が出たときに、過去7年以内のマイナスと相殺することが出来るという事です。

例を挙げてみますと、平成20年3月期に欠損金3,000千円が生じた場合、平成21年3月期から平成27年3月期までの7年間に生ずる3,000千円までの所得から控除することが出来るというものです。つまり、平成21年3月期に2,000千円、平成22年3月期に2,500千円の所得が生じたとすると、平成21年3月期の所得は2,000千円から繰越欠損金3,000千円と相殺し所得が0円となり、次に平成22年3月期の所得は、2,500千円から繰越欠損金3,000千円のうち残っている1,000千円を控除して所得が1,500千円となるのです。このように、翌期以降に生じた所得の金額から繰越欠損金を控除しますが、控除しきれない金額は、さらにその次の事業年度の所得の金額から控除されます。

ただ、注意点として事業年度の変更があった場合は異なってきます。つまり、業年度を12月末日に変更しますと、欠損金3,000千円を控除することができる期間は、平成20年4月から平成26年12月までの6年9か月間になってしまいます。

なお、この制度の適用を受けるためには、欠損金の生じた事業年度において青色申告書で確定申告書を提出しており、その後において連続して確定申告書を提出している等の要件が必要となりますので、ご注意ください。

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