事務所通信

法人税Q&A (その九)

今回は、社員や役員を被保険者とする養老保険の保険料を法人が負担した場合の税務上の取扱いについてご説明したいと思います。

養老保険は、被保険者(社員や役員)の死亡または事故に対する生命保険です。法人が自己を契約者をとし、社員または役員を被保険者とする養老保険に加入するのは、貯蓄と万一の場合の保障の二つの目的があると思われます。このため、保険金受取人によって、次のように取扱いが定められています。

①死亡保険金および生存保険金の受取人が法人である場合

支払った保険料は費用となりませんので、保険事故の発生または保険契約の解除もしくは失効により保険契約が終了するまで資産として取り扱います。

②死亡保険金および生存保険金の受取人が被保険者またはその遺族である場合

法人が保険料を負担したことによって、被保険者である役員または社員に経済的利益(金銭の提供)を供与したことになるため、その人に対する給与となり、所得税の源泉徴収が必要となります。

③死亡保険金の受取人が被保険者の遺族で、生存保険金の受取人が法人である場合

生存保険金に係る積立保険料の部分を①と同様に資産として計上し、死亡保険金に係る保険料の部分を福利厚生費(費用)として取り扱います。この場合、積立保険料の部分と死亡保険料の部分が契約者にはわかりませんので、2分の1ずつとして計算します。(ただ、保険者の加入を特定の者に限定した場合は、福利厚生費とはならず、その特定の役員または社員への給与として取り扱われます。)

このように法人が保険契約をした場合、契約内容によりその取扱いが大きく異なりますので、この機会に一度保険証券の確認などをしていただければと思います。

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