事務所通信

所得税Q&A 16

今回は、所得税の計算における「損益通算」についてご説明します。

「損益通算」とは、事業所得や不動産所得など2種類以上の所得があり、年間を通じて一方の所得が赤字で、他のもう一方の所得が黒字であった場合にこの2つの所得を差し引きして、黒字の所得と赤字の所得を合算するものです。ただ、赤字を通算出来る所得と出来ない所得があり、出来るのは「事業所得」・「譲渡所得」・「不動産所得」・「山林所得」の赤字です。つまり、「雑所得」「一時所得」「退職所得」「給与所得」「利子所得」「配当所得」については、赤字が出ても他の所得と損益通算は出来ません。(ただ、これらの所得は基本的にどれも赤字の出ない所得です。)たとえば、会社を辞めて独立開業した場合、その年の所得は給与所得と事業所得があります。開業したばかりで売上が少なく、独立1年目の事業所得が赤字になったとします。その場合には、事業の赤字を給与所得から差し引くことができます。そうすると、給与から源泉徴収されていた税金が申告により還付されることになります。

また、ゴルフ会員権につきましても購入時よりも安く売却し譲渡損が発生した場合なども、他の所得と損益通算ができます。

しかし、株式や不動産を譲渡してマイナス(損失)が出た場合は、株式なら株式、不動産なら不動産の譲渡益としか通算ができません。そのため、マイナスの所得が出たからといって必ずしも、他の所得と通算することにより税額を抑えられるとは限りません。ご注意ください。

この損益通算は非常に複雑ですので、もし、本年23年度中に何らかの損失があった方は当事務所へご相談いただければと思います。

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