事務所通信

所得税Q&A 10

今回は山林所得についてお話したいと思います。

山林所得とは、山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡することによって生ずる所得をいいます。ただし、山林を取得してから5年以内に伐採又は譲渡した場合は、山林所得ではなく事業所得か雑所得になります。

また、山林を山ごと譲渡する場合の土地の部分は、譲渡所得になりますのでご注意ください。

次に山林所得の金額は、次のように計算します。

総収入金額-必要経費-特別控除額(最高50万円)=山林所得の金額

(1) 総収入金額

譲渡の対価(売買価格)が収入金額となります。なお、山林を伐採して自己の家屋を建築するために使用した場合は、その消費したときの時価が総収入金額に算入されます。

(2) 必要経費

植林費などの取得費のほか、下刈費などの山林の管理、維持のために必要な管理費、さらに、伐採費、搬出費、仲介手数料などの、譲渡するために必要な費用です。

上記の内容をもとに山林所得を算出するのですが、山林は長期間にわたり育成されますので、上記の必要経費を明確に出来ないことが多々あります。そこで、この必要経費には特例があります(概算経費控除)。

伐採又は譲渡した年の15年前の12月31日以前から引き続き所有していた山林を伐採又は譲渡した場合は、収入金額から伐採費などの譲渡費用を差し引いた金額の50%に相当する金額に、伐採費などの譲渡費用を加えた金額を必要経費とすることができます。

つまり、少なくとも15年以上所有しており、収入金額が100万円で伐採費などの譲渡費用が20万円とした場合、(100万円-20万円)×50%+20万円=60万円となり、60万円を必要経費として、総収入金額から差し引くことが出来るというものです。

そして最後に、特別控除の50万円を差し引き、10万円が山林所得となるのですが、この山林所得は、他の所得と合計せず、他の所得と異なった計算方法により税額を計算し確定申告することになります(この計算方法は5分5乗方式といわれるもので、簡単にいいますと他の所得の計算より税額が安くなる方式です)。

山林所得は、ほとんどの方にあまり関係がないかもしれませんが、ご参考にしていただければと思います。

タイトルとURLをコピーしました