事務所通信

「財務分析」~その③~

今回も分析についてお話していきます。下記の「貸借対照表」を簡略化した図を見てください。「貸借対照表」の「資産の部」は、「流動資産」と「固定資産」に分かれ(繰延資産の話はまた、後日にします。)、さらに「負債の部」も同様に「流動負債」と「固定負債」に分かれているのがわかると思います。

この「流動」か「固定」かの区別は、1年基準といわれる区分に従って分類されます。すなわち,1年基準とは1年以内に現金化して回収できる資産を「流動資産」1年以内に支払や返済期限がくる負債を「流動負債」とする基準です。

したがって「流動資産」と「流動負債」の大きさを比較し、「流動資産」が「流動負債」より大きければ、1年以内に回収される金額が支払金額を上回っているので、会社の資金繰りは約1年間順調にいくだろうと想像できます。

このことに着目したのが、安全性の1つの指標として経営分析によく使われる「流動比率」と言われるものです。

「流動比率」は、下記の式で求めます。

算出される数値としては100%以上、つまり1倍以上あればいいのではと思われがちですが、決して安全であるとは言えません。というのは、「流動資産」の中身の「受取手形」や「売掛金」が現金回収されるまでの時間は長短さまざまであり、同様に「流動負債」の中身の「支払手形」や「買掛金」の支払期日も長短さまざまだからです。

現金化されるタイミングと、支払や返済のタイミングがうまく一致していればいいのですが、現実にはズレることが多く支払の方が早いということがよくありますので、理想としては150%くらいあるのが望ましいと思われます。

資産 → 流動資産 固定資産 繰延資産
負債 → 流動負債 固定負債
資本

流動比率 = 流動資産 / 流動負債 × 100

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