今回は旅費を支給した場合の源泉所得税についてご説明します。
この旅費は、以前ご説明いたしました交通費ではなく、業務の遂行上、必要な出張旅費や宿泊費のことを指します。
この旅費を支給することは業務遂行上、必要な運賃、宿泊費、日当等の支給なので、基本的には給与とはならず源泉所得税の対象とはなりません(ただし日当を支給する場合は旅費規程により支給基準を明確に定めておく必要があります。)しかし、出張の目的や目的地、行路や期間の長短、宿泊の要否、社員の職務内容および地位等からみて、その出張に通常必要とされるものに限られています。
たとえば、国内の出張に2泊3日で行った場合、すべての日程が業務として必要であり、また交通手段も適正に取られていれば、全額旅費として支給しても差し支えありません。しかし、1日でも観光などの業務に関係ない行程が含まれていたり、私的な用件の為、交通手段に無駄な行路が含まれていれば、その全額は旅費として認められず、源泉所得税の対象となりますのでご注意ください。
また、業務上、出張が頻繁に行われるため毎回の清算を簡略化するため、過去の実績等に基づいて定額の旅費を支給した場合も給与として認定されることになります。つまり、過去の実績を用いたとしても、実情とあっていない固定金額を支給してしまうと給与と同質となり源泉所得税の対象となりますのでご注意ください。
今回の旅費における源泉所得税につき、いつ・誰が・どのような目的で・どのような行路で行ったのかで源泉所得税が掛る場合と掛らない場合があります。また、国外へ出張などもあればなおさらですが、出張旅費規定の作成、出張旅費における日程表やレポートの作成・保管はくれぐれもお忘れになりませんようご注意ください。