今回も前回に引き続き、実務的に判断の難しい減価償却資産の個別事例についてご説明させていただきます。
製造業などの場合、機械などの固定資産を所有しておられますが、受注の減少や工場の移転などから機械の稼働を休止させた場合、概ね次のような状況になると思われます。
①別工場で使うため、移設中である機械
②生産調整のため稼働休止しているがメンテナンスが行われ、いつでも使える機械
③生産ラインから外して、当社の倉庫で保管している機械
まず、機械などの減価償却資産であっても、その機械を事業に使用していなければ、減価償却資産に該当しないこととなっています。そのため、稼動を休止している資産は、原則として減価償却は認められませんが、次のような場合は減価償却を行うことが認められています。
Ⅰ.稼動を休止している資産であっても、その休止期間中に必要な維持補修が行われており、いつでも稼動し得る状態にあるものは、減価償却費を計上することができます。
Ⅱ.他の場所で使用するために移設中の資産については、その移設期間が通常要する期間であると認められる場合は、減価償却費を計上することができます。
つまり、①~③の状態の機械につきまして、①と②は上記に該当するため、減価償却費を計上することができます。ただ、③につきましては、上記Ⅰに該当する場合は、減価償却費を計上することができますが、常時保守管理が行われていないような場合には、減価償却を計上することはできないと考えられます。
また、機械を購入したものの未使用の場合は、上記、稼働休止資産には該当せず、また、事業に使用していませんので、減価償却をすることはできませんのでご注意ください。